\伝わるって楽しい!
共同注意と「声かけ」で育むコミュニケーションの土台/

目次
🤝 コミュニケーションは「共有」から始まる
お子様とのコミュニケーションにおいて、
「なかなか目を見てくれない」「指さしをしない」といったお悩みを持つ保護者様もいらっしゃるかもしれません。
コミュニケーションは、「話す」ことだけではありません。
その始まりは、「他の人にも見てもらいたい・伝えたい」という気持ちです。
そして、同じものを見て笑うなど、同じ体験を共有することが、最終的に同じ話題について話すこと、
すなわちコミュニケーションへと繋がります。
このコミュニケーションの土台を築く上で最も重要な概念の一つが、「共同注意(共同注視)」です。
このブログでは、共同注意の役割と、ご家庭でできる具体的な支援テクニックをご紹介します。
🎯 1. コミュニケーションの土台「共同注意」を理解する
共同注意(共同注視)とは、自分と大人(他者)が同じものを見ている状態を指します。
この状態が成立する前段階として、お子様はまず「人」や「物」との関わり方を学びます。
・二項関係(1対1の関係): 自分と大人(他者)、あるいは自分とおもちゃなど、1対1の関係を結んでいる状態です。
・三項関係(1対1対1の関係): 自分と大人とおもちゃなど、3つの要素が絡む関係です。
そして、共同注意が発達していく中で、お子様は視線や指さしを通じて、他者と自分の関心を共有できるようになります。
◆共同注意の発達ステップ
共同注意は、以下のように段階的に発達します。
①大まかな方向の特定: 大人の視線が向いている方向を、ざっくりと特定できる段階です。
②視野内での場所の特定: 子どもの視野内であれば、大人の顔と視線の向きから、大人が何を見ているのか場所の特定ができる段階です。
③視野外での場所の特定: 子どもの背後など、視野外にあるものでも、大人の視線から場所の特定ができるようになります。
この共同注意の力を育むことが、お子様が言葉を習得し、社会性を身につけるための大切な土台となります。

💡 2. お家でもできる!
コミュニケーションの土台を築く支援ポイント
コミュニケーションの土台となる共同注意や、やり取りの力を育むために、
ご家庭で意識できる具体的な関わり方のポイントをご紹介します。
【支援ポイント①】静かな環境で声をかけよう
・お子さんに声をかけるとき、テレビや動画、音楽などの音が入っていると、
聞いてほしい情報だけがしっかり聞こえないことがあります。
・静かな環境を作り、お子さんに声をかける時間を作りましょう。
これにより、お子様は「自分に話しかけている」ということに集中しやすくなります。
【支援ポイント②】五つの具体的な関わり方と声かけテクニック
お子様とのやり取りを深めるために、以下の5つの関わり方を意識してみてください。
1オーバー実況(お子さんの行動を実況する)
お子様がしている遊びや行動を、少しオーバーに実況してあげましょう。
・例: お子様がミニカーを走らせていたら、
「はやいはや~い!○くん号がはや~い!」と声をかけます。
・例: ぬいぐるみを優しく撫でていたら、「くまさんにいいこいいこだね」と実況します。
◎<効果> お子様は自分の行動が認識され、言葉にされていることを知り、遊びへの興味が増し、言葉と行動の結びつきを学びます。
2関わり遊びのタイミング変更(いつもとは違うタイミングで反応を見る)
いつもの遊びに「間」を取り入れてみましょう。予想と違う展開に、お子様が注目してくれるきっかけになります。
・例: いつもの「1、2、3、ジャンプ!」の遊びで、
「1・2・・・・・・(少し間を取って)3・ジャ~ンプ!」と変化をつけます。
・例: 「いないいないばあ」や「こちょこちょ遊び」でも、
「1・2・・・・こちょこちょ~」と間を空けてみましょう。
◎<効果> この「間」に、お子様は大人の顔や動きに注目し、「次はどうなるんだろう?」という期待感を持ちます。
3ミラリング(子どもの行動をそのまま真似する)
お子様の行動をそのまま真似して、返してあげましょう。
・例: 子どもが手を叩いたら、すぐに真似して手を叩きます。
◎<効果> ミラリングは、お子様に「自分の行動が認められた」「大人と繋がっている」という感覚を与え、
安心感と自己肯定感を育みます。
4パラレル・トーク(子どもの行動や気持ちを言語化してあげる)
お子様が話すことができなくても、その行動や気持ちを大人が言葉にして代弁してあげます。
・例: お子様が車や電車で遊んでいるときに、「しゅっぱ~つ!」「ブッブー、速いね」。
・例: お子様が何かを掴もうとして届かなかったときに、「あー、取りたいんだね」
◎<効果> お子様の体験と言葉を一致させ、言葉の理解(インプット)を促します。
5モデリング(やりとりや会話を通じてモデルを示す)
大人が正しい言葉の使い方や、やり取りの仕方を自ら示してあげることです。
・例: ご飯を食べているときに、大人が「もぐもぐ、おいしいね」と声をかけます。
◎<効果> 具体的な行動と言葉を結びつけるモデルとなることで、
お子様は自然な会話の流れや、言葉の意味を学ぶことができます。
💖 3. 共同注意を意識して遊ぶことの大切さ
これらの支援ポイントの根底にあるのは、「共同注意」を意識してお子さんと遊ぶことです。
「一緒に楽しむ」「一緒に同じものを見る」という体験こそが、
お子様の「伝わるって楽しい」というコミュニケーションの喜びと意欲を育てます。
もし、言葉やコミュニケーションについてご心配な点があれば、言語訓練相談をご利用いただけます。
お子様の成長を支える言語聴覚士が、お子様の想いに寄り添い、
その子らしいコミュニケーションの方法を一緒に考えていきます。

─共有の喜びを日常に
共同注意を育むための特別な道具は必要ありません。
日々の遊びや関わりの中で、お子様と同じものに目を向け、同じ気持ちを共有しようと意識するだけで十分です。
お子様と同じ体験を共有する喜びを大切に、コミュニケーションの土台をしっかりと築いていきましょう。
お子さまの言語(ことばの遅れや滑舌など)や摂食についてお悩みやご質問がある方は、
お気軽にハピネス歯科 0564-62-0505までお電話ください。WEB予約はこちら
当院では1歳頃から言語訓練の対象となる場合があり、
言語聴覚士が個別のプログラムでサポートいたします!










